大学講師の無期雇用転換に関する「10年特例」に最高裁が初判断
大学講師の無期雇用転換に関する「10年特例」に最高裁が初判断
大学教員の雇用制度に影響を与える、大学講師の無期雇用転換に関する「10年特例」について、最高裁判所が初めての判断を示しました。ここでは、この事件の概要や判決の内容、今後の影響について分かりやすく解説します。
事件の概要
大阪府内のある私立大学で介護福祉士養成コースの授業を担当していた女性講師が、6年間働いた後に雇止めされたことを不当として大学を訴えました。争点となったのは、この女性が「任期法」に基づく10年特例の対象に該当するかどうかでした。
「10年特例」とは
一般的に非正規雇用の労働者は、5年間働くと無期雇用に転換できる権利が与えられますが、大学教員など特定の職種には特例が設けられています。教育や研究において「多様な人材の確保」が求められる職種の場合、無期転換の義務が発生するまでの期間が10年に延長されています。
最高裁の判断
最高裁第一小法廷は、以下のように判断しました:
特例の対象を過度に厳格に解釈するのは適切でない。
教員の職務内容や大学の実情を踏まえた判断が尊重されるべきである。
元講師の業務は「多様な知識や経験が必要とされる教育研究の職に該当する」と評価。
この判断に基づき、最高裁は元講師の訴えを認めた大阪高等裁判所の判決を取り消し、再審理を命じました。
判決が示す影響
今回の判決により、大学の雇用制度に関する裁量が広がる可能性があります。大学の事情を考慮した判断が重要とされたことは、大学側にとってプラスに働くことが予想されます。一方で、元講師の代理人は「不当な判決」として批判しており、雇用者と雇用主の双方にとって、今後の基準が明確でないことが課題として残ります。
今後の展望
この判決を受け、大学教員の雇用制度や無期転換ルールの運用に変化が生じる可能性があります。再審理の結果や、今後の類似事案での判断が注目されるところです。
大学や教育現場で働く方々にとって、この判決の動向は見逃せないポイントです。